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Great Big Seaに関する雑談、その他音楽、あるいはただの読書日記

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ねじの回転//Henry James, 蕗沢忠枝 訳/新潮文庫シ5-2

なんというアメリカ文学。
主人公であるべき「私」と語り手ダグラスが存在してない。
主体がないとはどういうことだ。
でも形式的な話はどうでもよろしい。
個人的にうふふと思ったのはその語りの手法です。
ただのひとつも詳らかに書かない淫靡(といったら言い過ぎ?)な文体。
密接で内緒話のような親密で秘めた会話文といい、
知的に勇敢に才気みなぎる独白といい。
手に取るようにわかる、というの?
説明されすぎないからその話に加えてもらえてる気になる。
「わたし」の名前も知らないというのに。
「わたし」の語りは何度もまるで異常に至りながら、
文章の端々に溢れる機知で彼女の正常を知る。
感情の起伏は女性としてはとても滑らかだと思います。信頼できる。
24章に区切られたその話が、黎明に始まり夜明けに終わるようなすっきりした構成をみせる。
最後、なんだかモーツァルトの「魔王」を彷彿とさせますね。
実際とても音楽的な小説でした。読みやすいし。
クイントの肉体を殺したのは少年なのではあるまいか、というのがわたしの結論。
彼はなにしろ探されたけれど会っていない。
良質な幻想ミステリ。
ゴシック小説とよぶのを憚るほど、これは鮮烈です。
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好きな画家
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