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Great Big Seaに関する雑談、その他音楽、あるいはただの読書日記

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夏目漱石//岩波文庫 緑-10-4


英語タイトルがThe Three-Cornered Worldなのです。
なんでこんなタイトルなのだろうと思って、読んで、納得。
とても冴えた英題だと思います。
作品の本質を突いている。
世界から人情を抜き去った、三角の世界、それが草枕。
芸術が語られる小説です。

漱石の英国留学経験が大いに発揮されている。
絵画と詩、これが根底にあり、そこから人情なんてものを抜き去ろうとして、
結局最後に見つけた芸術は人情によって、忌み嫌った都会で、完成される。
絵画ではミレイ、ターナーと英国大御所が顔を覗かせ、
詩歌でワーズワースと並べて五言絶句を書いたりする。
芸術は互換性のあるひどく自由な美しさだと思わせる。
「ハムレット」のオフェリアはミレイの手によって情感的に、
けれどひどく非人情に仕上がりました。それをひたすら追う画工。
小説を拾い読みするシーンなんか
「ハムレット」を語らずにオフェリアの絵を語る、
それを正当化する手段に見えます(もちろん船のシーンは重要でしょうが)。

幅広い文化論、芸術論という印象。
語り口、というか文体がとてもきっぱりしていて好きです。
少し意識の流れの手法が見えますが、流れきらない。
近代日本詩人の書き口も連想します。
面白かった!
読むのとても時間掛かったけれど。
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