忍者ブログ
Great Big Seaに関する雑談、その他音楽、あるいはただの読書日記

[54]  [53]  [52]  [48]  [45]  [44]  [42]  [40]  [39]  [38]  [37
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

老人と海//Ernest Hemingway 福田恒存訳/新潮文庫赤100D

Hemingwayは短編が好きです。「橋の袂にいた老人」とか「白い象のような山々」とか。
長編は冗長に過ぎる、というか文体があまりに男性的すぎて読みづらい。
くっきりきっぱりさっぱり切り取る短編がいいですよ。それでまた切り取り方が上手いの!
映像化し易いんですね、心象風景が少ないから、全くの第三者として話を眺めることができる。
たまたま通り過ぎた人物としての読者なんですよ。登場人物に対してただ傍観する。
人物たちのなかに入り込めない、それが新大陸っぽい、と言って通じるかしら。
登場人物たちはお互いに欧州なんですよ。それぞれに生きてきた過去を持っている。
でも読者は急にその現実だけを目の当たりにさせられて、放り込まれるだけ。
それが新大陸っぽい(アメリカ文学っぽい、ではなく)。
まあこんな話してたらいつまで経っても本題に入れないわけで。

サンチャゴが魚の分も祈るシーンが好きです。
帰路の間に謝るのも。
少年との会話も。
歯を食いしばって戦って、勝ち取る、その孤独。
鮫と戦ったときに、くくりつけた魚に、お前を放して一緒に戦えばよかった、って言う。
それがどうにも切ない。うまく言えないけど。
自分の一部でさえ信用できない老人が、魚は一緒に戦ってくれると思ってるんですよ。
必死で戦って勝った、その相手を信頼してるんです。
それがまた痛ましい。
心がぼろぼろになる。食いちぎられる魚みたいに。
少年はそれが解ったから泣いたんだろうなぁ。

ところで最初、これはマタドールの話みたいなのじゃあるまいなと思って読んだのだけど、
サンチャゴは欧州でしょうか、それともアメリカでしょうか。
現代で読むなら、丸腰になって横たわる彼がアメリカにも見えます。
でも知識も経験もある寂しがりな老人はとてもアメリカには見えない。
でもなにもかも失した老人欧州が少年アメリカと一緒に海に出るなんて未来があるはずない。
そもそも老人が夢を見る終わり方が彼の死を予期しててとても未来なんかない。

今気づいたけどタイトルは老人と「海」なのね。魚じゃなく。
海を女性名詞で呼ぶところから内容を絡み合わせると大層女性につらくあたる含意が見えますね。
Hemingwayだし。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
Search
サイト内検索
Calender
10 2017/11 12
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
profile
HN:あず/relieur
HP:SailingDay
性別:女性
自己紹介:
歴史(独愛蘇)と旅行が好き。
好きな作家
:いしいしんじ、江國香織、梨木香歩、藤沢周平、福井晴敏、
Christian Gailly、Ray Bradbury、Edgar Allan Poe、Oscar Wilde
好きな画家
:William Turner、Jacob van Ruisdeal、いせひでこ、いわさきちひろ
全力でGBSを応援中
twitter
P R
忍者ブログ [PR]