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Great Big Seaに関する雑談、その他音楽、あるいはただの読書日記

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『闇の左手』//Ursula K. Le Guin、小尾芙佐 訳//ハヤカワSF252

ル=グウィンというとゲド戦記を思い出します。
14歳頃に4巻くらいまでわっと読んで難しい本だなぁと思ったものです。
実際よくわからなかった。ジブリは観ていない。
ただ、これはいいな、と思ったのは魔法を使うときの約束ごとでした。
ずっと変身していると自分自身を忘れてしまう、
嘘をついてはならない、など。
そういう制約があってこその能力だと思うのです。薬に副作用があるように。
まあ実際難しい話であることに違いはなかった。
4巻だかの最後に、ハイタカが帰ってきた奥さん(名前忘れた)を戸口で迎えて
二人で一緒に部屋に入るシーンがありましたよね。
この静かな閉じ方!
あるいは老いることへの肯定。
それは、読んでよかったなぁと思ったのですよ。

それで本作は、SFです。
彼女に対してファンタジーのイメージが強いのでSFかぁ、と思いつつ。
一人の男がとても閉鎖的な惑星に、同盟への誘いを持ってやってくる。
最初に着陸した国では始め目的は果たされず、その隣の国でも失敗し、
しかし氷原を通って最初の国へ帰還した、そのとき果たされる。
シンプルに言えばそういう物語です。
波瀾万丈な部分は省略しました。そこが読み応えのあるところなので。
しかし『ゲド戦記』を読んだときと同じように読みづらいと感じてしまう理由というと、
・伝承の挿入
・勢力関係のせめぎあい
・親しんだことのない言葉、単位・造語の出現
・登場人物がカタカナな上、数が多く混乱する
というところでしょうか。
SF読み慣れてくると後ろ2つは苦にならなくなります。

今回ぱっと目を引く設定は完全体(両性具有)というところ。
しかもちゃんと発情期とそうでない期間がある。
(人間は年中発情期なんだなぁと思うのは不思議なことです。)
それにしたって「完全体」ってすごい言葉ですよね。
現在の人間の形は不完全であることが前提。
確かに見方によれば不具です。男は余り、女は足りない。(言い方微妙過ぎる。)
ときどき、人間は殖えちゃいけないんじゃないかと思うの。
発情期がないってことは性機能(というか密度)は低いってことですよね?
そのうえ子どもは不完全な状態で産まれざるをえない。
生きていくにはつらすぎる。産まれて3時間で立てる馬とは違う。
あ、もちろん、寿命の違いによる時間概念の違いもあるでしょうけれど。

この話を通して一体なにが言いたかったのかはよく掴めません。
他者の集団を理解するためにはその集団そのものと付き合うのではなく
そのうちの一人と過ごす方がいい、ということは学んだ気がします。
2年間の成果と81日間の成果の違いを見れば明らかなこと。
異文化交流の難しさ、誇りの違い、そういうもの。
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好きな画家
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