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Great Big Seaに関する雑談、その他音楽、あるいはただの読書日記

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3回目なので焦点を絞りましょう。
キリスト教とフェミニズム、です。


前者から。
一応軽くであれ西洋の歴史をさらった人間にとってまずびっくりするのが葬儀。
キリスト圏の映像で火葬を見るとわたしはほんとにぞっとする。
(スターウォーズでも戸惑いを隠せなかった。)
1回目観た時にはウォルターの位置づけに困ったぐらい動揺しました。
パンフレットによれば現代への迎合だということですが、
いやそんなまさか! という気持ちの方が強い。
なにしろジミーや英の騎士たちは土葬されていますよね。
この葬儀の違いは一体何なのか。
あとは今回初めて気づいたけれどノッティンガムの教会。
教徒ではないので実感としてはわからないのですが、
キリストの磔刑はほんとうに教徒にとって苦痛なのだそうです。
だから十字架そのものですら苦痛を教徒に与えるのに、
それにさらに御身さえ模られているというのは非常な苦痛なのだそうです。
この状況は耐え難い、と一枚絵で伝えるほんの1秒。
それから一党たちがお酒を飲んで歌い踊るシーン。
「まるで修道院だな」ウィルの言葉だったかしら。
修道院の女があんなにみだらな服の着方をするもんか、という話。
(もちろん単純な比喩で若い女だらけ、ということですけれども。)
あとは最後のアニメーションの部分ですね。油絵。
人を殺しているのは修道士の格好をした人たちです。
十字軍とはつまり神の御名による殺戮である。
重税とはつまり神の与えたもうた王冠による苦行である。
その神は本当にわれわれが信じるべき神なのか。


それでは後者、フェミニズム。
マリアンは初め、使用人蹴ったりbastardsと叫んだりするLadyとして登場。
強烈だなー、と思っていたのに、それが強がりだと知る。
そういう強がりだって要るのです。あの状況では。
ロビンを館へ案内して、ちょっとマリアンがつまづくシーンがあります。
そのとき後ろでふっとロビンが手を差し伸べようとしている。
完全に後ろ盾を失って、代官の言葉が現実になって襲ってきた瞬間。
10年ひとりで戦い続けるのはつらいことでしょう。
しかし応急処置のための手立てには真っ向から反対してはねつける。
今までひとりでやってきたのだから急ごしらえの夫など要らないと。
けれど種を蒔き終えたロビンを頼っても良いのだと気づく、
その瞬間の笑顔の美しさといったらない。
エリザベス観てるからCateに気丈な女性のイメージが強いのだけど、
だからこそ最後(森の中のシーン)、どうだ見たか! と喝采。
子どもの世話をする=母性性の獲得
ロビンとじゃれあって抱え上げられる=女性性の獲得
ロビンがマリアンを甘やかさない、というのがいいですね。
対等であり、けれど「女性化」されているマリアン。
男は狩に出て女は待っている。彼女はもう安心して待てるので。

彼女が待てなかったのは戦場シーンですね。
以前スコット監督の「エイリアン」(1979)を観ました。
時代が時代だったこともあって大変にフェミニズム的な作品だったわけですが、
気持ち悪くて怖くてあまり観てないといえば観てないので語る資格は持たない。
監督はリプリー同様にマリアンにおいて「戦う女性」を示したかったのか?
大方のSFではエイリアンは女性のことを示します。男性に対立する勢力。
では異邦人フランスも対立者としての女性性を持つか。
大いにあり得る。
例えばマリアンが着る青い服はフランス軍旗の色と重ねてみることができますし、
フランスの紋章である百合は聖母マリアの象徴です。
これはリチャード王の帰還のためにアリエノールが着た青と金の服、でもわかる。
(青を身につけるのはそれが単に高貴色だから、というのはもちろんあり得る。)
対してイングランド国旗は白地に赤い十字。胸の紋章は赤い盾に金の獅子。
赤に対する青、はフランス軍であり、同時に女性でもある。
戦って勝利を収めたイングランド軍は同時に家父長制を勝ち取る。
(ロビンがバーンズデイルで「男はだれもが一城の主だ」というとおり。)

さて戦場と言えばマリアンの登場について
男の戦いに水を指すようでよろしくない、
という批判をされる方がいましたが
わたしにはこれは一女性として戦う姿、
ではなく仇討ちのシーンに見えてしまいます。
どうやらサムライ映画だそうなので、夫と舅を殺された未亡人が
単身脇差しを掴んで襲いかかるのだけれど失敗し、
殺されかけたところで主人公が助太刀にくる。
そういうよくある場面に見えます。
彼女はフランスに対して戦う理由を持たないし
「ウォルターの敵、」と出撃前に呟いています。
まぁ確かに合戦に出かけて行って相手の首を取るようなものなので
確かに違和感は残りますが、それは「女だから」ではない。
マリアンが戦う相手がフランスだったら違和感どころの騒ぎではない、
きっとわたしも大いに文句を言ったと思います。


最後に。おまけ。
これはツイッタでぼそぼそ呟いていたのですが、ジョン王のこと。
彼は唯一、この映画で注目すべき人間性を持っていると思います。
メインキャラクターにおいて唯一母を持つ存在として描かれる彼ですが、
悲しいほど人間味のある人物として描かれています。
兄と比べられ続けて愛されなかった弟の、乳母兄弟が実はフランスの密偵で、
そいつにこけにされて、自分の人生はとんだお笑い種なわけです。
なんとか人に自分を認めさせたいと頑張ろうとするんだけれど失敗する、
そういう悲しさに溢れている。
自分の責任を自分に持つこともできない。
だから国の責任も当たり前だけど持てない。
それは兄のせいで母のせいで神のせい。
母が「言うことを聞かない」と仰っているけれどそりゃそうでしょう。
じゃああなたはジョンの話を聞いたのか、ということ。
ロビンが見返りの権利を主張するけれど、
ジョンは母にその権利を主張できない。
イザベラの言うことは聞くのは、
彼女が明らかにジョンを愛していると彼にちゃんとわかるからなのでしょう。
もちろん、一国の王がそんなことじゃ困るわけです。
つまり子どもがだだをこねるみたいにされたら困るわけですけれど。
でも兄にはいた「王の友」がジョンにはいません。
だからマーシャルが、ジョンの「王の友」にロビンをあてることができたら、
それはそれは名宰相だった、とふと思った。
いろんな点で無理がありすぎるけれど。
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Christian Gailly、Ray Bradbury、Edgar Allan Poe、Oscar Wilde
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