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Great Big Seaに関する雑談、その他音楽、あるいはただの読書日記

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『ライ麦畑でつかまえて』//J. D. Salinger, 野崎孝 訳//白水Uブックス

少年が大人のインチキさに耐えきれずに神経衰弱になる話。
今話題の焼け野原願望と少し似ているかもしれません。作中ちょっとそういう表現が出ますが、
初版が51年だとしたらこの時代に早くもその願望を描きとっただなんてちょっと信じがたい。
わたしはこの本で初めてnaiveの意味を知った気がします。
女の子の繊細さは決してnaiveとは言わないのだなぁと。
主人公のホールデンみたいな人のための形容詞なのです。
あ、『人間失格』の主人公でもいいかもしれません。なんとなく似ていませんか?
そしてこれを読んでいて思ったのはLong Lifeなのです。
とんまな類推をすることは大得意なのでこのまま話を進めますが、
snow turn back to rain、I will not disappaer、暗闇のなか部屋へ入って明かりを点ける。
この歌詞がどうにも作中にちらついた。
誰か同じこと思ってないかしら。

ライ麦畑で走り回る子供たちが崖から落ちないように捕まえてやる人になりたい、
と妹のフィービーに言うシーンはとても有名だけれど
ダイジェストなんかを読んでこの言葉を知っても意味がまるでない。
アヒルの話とジェーンの話と彼の父親の話が要る。
父親は会社の顧問弁護士だけれど、彼がほんとに弁護される側のために弁護士をしているのか
ただ名誉と勝利が欲しくてしているのか少年には釈然としなくて、後者は彼にとって許せない。
イスカリオテのユダは天国へ行ったと言い張れる少年にはそれは許せない。
自分を知っている人のいない所へ行ってガソリンを入れる仕事をしようと思う少年にはできない。

堕落した小説だと聞いていたのですがちっとも堕落してないうえに真実純真で気圧された。
自分は家に帰れないのにアヒルの心配をする少年。
嘘を重ねることで自分を存在させようとする少年。(ここが少し『ハック・フィン』とかぶる。)
(いくぶん俗っぽい)修道女に自分の俗っぽい部分を申し訳なく思う少年。
社交辞令すべてをインチキだと嫌う、真実を愛する少年。
こんな16歳って存在するの?


あれっ
もしかしなくてもわたし、読み方間違えてます?
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好きな画家
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